第19章

神崎晃は眉をひそめた。雪乃の言葉が、理由もなく胸の奥をざらつかせる。

「……今、なんて言った? もう一回言え」

雪乃を睨みつける声は、まるで父親みたいに冷たく硬い。

雪乃はびくっと肩を跳ねさせ、慌てて母親の服をぎゅっと掴んだ。俯いたまま、口を噤む。

それを見た周囲は、ますます白けた。

――あちこちのグループチャットで回っている。

神崎家が最近連れ戻した子は性根が悪い。継母を流産させたうえに、叔父たちに水野家を潰させた、と。

神崎家の人間は、神崎実里への負い目を埋めるために、紬を無条件で甘やかしている――。

今の様子を見れば、噂は本当らしい。そんな空気が、ひそひそと広がっていく...

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